PINKFOX 強制収容26
「・・・・・・・・・・・どういう事だ」
「・・・・私を・・・私を本当に愛していますか?」
「・・も、勿論っ!だからこうして裸で俺とお前はだな」
横になりながらジ・・とO氏を見つめるPINKFOX。
「・・・借金か?それとも・・・人を殺めてきたのか?ん?まかせろ!!このO沢がお前の為に見事もみ消し
てやるゾガッハハハハッ!!!だから俺をもっと愛せ!上手い飯もゴージャスな海外旅行もおおっ!思いの
ままだ!!!渋谷の超高級マンションを一個やる!!!ガードマンつきの黒塗りのリムジンも与えるっ!!
それから・・」
「エ○ズなんです、私」
「そうか!エー、エ、・・・エエエ、エ○ズゥ?」
「はい・・感染者なんです。多分そう・・・囚人施設に入れられて沢山の汚らしい男たちにレイプされて移された
のよ。黒奇島でのチェックでもう長くないと・・・ぅ」
やがて泣き顔になる魔性の女PINKFOXこと美智子。
さすがに動揺を隠せないO氏。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
それはそうだろう。
それが真実ならば彼女と何度も性交を重ねた自分も恐らく悪魔の病原菌を拾ってきているに違いないの
だから。
・・・終わりじゃねえか・・・・・
ショックを隠しきれないO氏の横にPINKFOXがギラリと果物ナイフを突きつける!
「・・な、何をするっ!!!ヒ、ヒィィッ!!!お前は俺を、俺を殺す気かっ(汗)!!!!!」
「だから、一緒に即身仏に」
「ふざけるなぁこ、この売女がっ!!!!俺の、俺の一生を、よくもっ!!!!!このっ!!!!メスブタ
があっ!!!!」
パンッ!!
ピシャッ!!
「く・・・・」
狂ったO氏は美智子に掴みかかりビンタを食らわしナイフを奪い取ると崩れ落ちた裸の彼女をジリジリと
暗闇の中、追い詰める。
その必死の形相を見、美智子は言う。
「・・それがあなたの正体です。私じゃない。あなたは私を所詮商品価値の高い゛物゛としてしか見ていなかった
のです。所詮わが身が可愛いのです」
「当たり前だっ!!この小娘!!!お前に何が分かる!!いいや俺だけじゃない、この世の中全て金、金、金!ズル賢い人間が勝つんだよ!!!!お前だって同じ穴のムジナだろがっ!!!・・・・・・・そうか・・分かったぞ!?誰に頼まれた!・・横田か?・・・まさか塩崎か!?ははーん堂本だな!?体をエサに・・また誰か大物を釣り上げたのか貴様はぁぁ!!!!!」
「・・・・・・差しなさい。あなたに人を殺す勇気があるのなら・・クスクス・・・」
「・・・・・・・お前・・・どこまで俺をコケに・・・」
「あなたたちは愚かな人間です。侵食をむさぼり美酒に酔い巨額のお金を自分たちだけの欲望の為に
使い弱い立場の人々をコマネずみのようにこき使う。何故、政治家は同じ人間を騙すのですか?
何故、権力を握った偉い人たちは更に騙すのですか?同じ人間を騙して、騙して、騙しぬいて・・・私も以前は
そうよ。桃色狐。体で媚を売り人を騙して・・・でも、でも今は違う。産業スパイだった過去を恥じています。 だけどあなたたちは変わらない。それは怖いから。失うものの恐怖に勝てない弱いゴキブリ以下の 小動物だから・・・ 」
「この!・・・・・」
ドス!!
「ツ・・・・・・ぅ」
突進したO氏のナイフが彼女の心臓を直撃し、肉の切れる音と共に大量の鮮血が床にポタポタと零れ落ち、
美智子はガク・・と正座をするようにしゃがみ、崩れた。
反射的にハッ、と彼女を抱くO氏。
「お・・・・おい・・」
さっきとは打って変わって冷静さを取り戻したO氏が見つめると首を横にし、口から血を出しながら希代の
女スパイ、PINKFOXは微笑みながら言う。
「・・・・最後まで・・・わ、たし・・に騙されま・・したね。感染は嘘です・・・・っ」
「・・・・何?・・・・・・・何故だ!何故・・まさかお前、わざと俺を怒らせて・・・・どうして・・・」
「だ・・いじな人が・・いま・・す・・その・・人に・手をださな・・いでゴフッ!!」
むせて血を吐く美智子。
「分かった、約束する!だから、もう・・もうしゃべる・・なぅっぅ・・(泣)」
O氏は彼女を抱きながらすすり泣いた。
どうしようもなかった。
こうして馬渕美智子は静かに息をひきとった。
彼女の賭け・・・それは自らの命と引き換えに愛する人、猫宮ヤスシの命の保障を乞うものだったのだ。
魔性の女産業スパイPINKFOX。
希代の桃色狐はあざやかに世の男たちを騙し続けその生涯をここに終えたが最後、彼女は芝居をやめ、
馬渕美智子として、1人の女性としてO氏をくどいて死んでいった。
27に続く